さて、今回の件では、条例に対する東京都職員の「説得」行為が、可決への影響力を示した、とも見られている。報道によると、都職員がPTA団体の集会に出向き説得するなどの「活動」は、11月までで81回にも及んだとされている。(産経新聞「都職員の説得奏功 性描写規制条例 石原知事「大人の責任」」より)

だが、そうした都職員の「熱心」な活動について、不当ではないか、あるいは違憲ではないかとする観測が浮上している。公務員法の中には、「政治的行為」を制限する法律が盛り込まれている。憲法にも定められた、公務員の政治的偏向を防ぐための規定であり、適用基準は極めて厳しいものがある。

2005年、国家公務員が「赤旗」の号外を配布したというだけの理由で、国家公務員法違反で処罰を受けることになった。しかも、配っていたのは休日。政党の広報紙を休日に配布しただけで有罪になるというほどの、厳格な基準なのだ。

国家公務員が政党広報紙を休日に配布しただけでも処罰されるという前提がある中で、東京都の職員は、合計81回もPTAの集会に直接出向き、説得活動を行った。会派によって考えが分かれる条例を可決させるための「説得」を自ら行ったのである。

しかも、「説得」に及んでいる間、条例は議会によって否決され、廃案になっていた。つまり、都職員の行動は、明らかに政治的な活動と言えるものであり、また、議会の決定を「無視」して動いた、越権的行為だと指摘することも可能な行為と言えるだろう。

そして、この「説得」行為が改正案の成立に貢献したのであれば、「不当」な行為によって、議会の決定がなされてしまったという疑いは強くなってくる。